【ドリチャン】 教えて、しろくま先輩!          第1回『給与のデジタルマネー払い解禁』の巻

2023.02.24

ドリサポYouTubeチャンネル「ドリチャン」から、

「教えて、しろくま先輩!」シリーズをご紹介。

社会保険労務士資格を持つしろくま先輩が、後輩のぺんちゃんの疑問に優しく答えます。

第1回は『給与のデジタルマネー払い解禁』

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ぺんぎん(以下、ぺん):今日給料日だから、あとで銀行に行かなきゃ。めんどくさいな。

しろくま先輩(以下、くま):確かに、ちょっと面倒だよね。2023年の4月から給与のデジタル払いが解禁されるけど、そうなると毎月銀行に行く必要がなくなるね。

ぺん:え?デジタル払いってどういうことですか?

くま: ナントカPayみたいなデジタルマネーで給与を払えるようになるんだよ。

ぺん:もう少し詳しく教えてください。

くま:そもそも給与支払いには

  • 日本銀行が発行する通貨で支払うこと(通貨払い)
  • 労働者本人に直接支払うこと(直接払い)
  • 労働した分の賃金を全額支払うこと(全額払い)
  • 毎月一回以上支払うこと(毎月払い)
  • 毎月10日や末日など、一定の期日を定めて支払うこと(一定期日払い)

が労働基準法で定められているんだ。これを賃金支払5原則って言うんだよ。銀行口座への給与の振り込みは当たり前にされてるけど、じつは「通貨払い」の原則の例外なんだ。労働者の同意を得た場合にのみ認められてるって、知ってた?

ぺん:え~、全然知らなかったです。

くま:この「通貨払い」の原則の例外として、4月からデジタルマネーでの支払いが認められるようになるんだ。労働者の同意が必要だけどね。

ぺん:ちなみに、デジタルマネーなら何でもOKなんですか?

くま:ううん。デジタルマネーなら何でもいいわけじゃないんだ。厚生労働省は、給与支払いに利用する資金移動業者にこんな条件を設けてるんだ。

①賃金支払に係る口座の残高(以下「口座残高」という。)の上限額を100万円以下に設定していること又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。

②破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、従業員に口座残高の全額を速やかに弁済することができることを保証する仕組みを有していること。

③従業員の意に反する不正な為替取引その他の当該従業員の責めに帰すことができない理由により損失が生じたときに、その損失を補償する仕組みを有していること。

④最後に口座残高が変動した日から、少なくとも10年間は従業員が当該口座を利用できるための措置を講じていること。

⑤賃金支払に係る口座への資金移動が1円単位でできる措置を講じていること。

⑥ATMを利用すること等により、通貨で、1円単位で賃金の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金の受取ができる措置を講じていること。

⑦賃金の支払に係る業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。

⑧賃金の支払に係る業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

ぺん:へえ、結構細かい条件があるんですね。でも、これだけ読んでも、具体的にどのデジタルマネーが当てはまるのか全く分からないです。私が普段使ってる交通系のICカードとか、スマホの決済アプリは使えるのかな?

くま:それは、具体的な情報が出てこないと分からないけど、この条件をすべて満たせる資金移動業者は限られてくるだろうね。ちなみに、交通系のICカードや、お店で現金をチャージして使うようなカードは「前払式支払手段」って言って、資金移動業とはちょっと違うんだよ。

ぺん:へえ~。デジタルマネーって言っても、いっしょくたにはできないんですね。

くま:そうだよ。ちなみに、資金移動業者も3種類に分類されていて、この中の第二種が対象になる予定なんだよ。

ぺん:資金移動業者にも種類があるなんて…複雑すぎて付いていけないです。なんかよく分からないし、別に今のまま銀行振り込みでもいい気がするんですけど…。

くま:もちろん、そう思う人もいるだろうね。でも、日本で銀行口座を作るのが難しい外国人労働者にとってもありがたい制度だよね。制度を上手く利用すれば、人材確保にも有利になるんじゃないかな。給与口座の登録なしでスムーズに振り込めるから、事務手続きも楽になるし、企業側にもメリットがあるんだよ。

ぺん:なるほど。働き方が多様化する中で、給与の支払い方も多様化していく方向なんですね。

くま:ん。労働者から求められたら必ず応じなきゃいけないわけじゃないけど、政府がキャッシュレス決済自体を推進していく姿勢だし、企業も労働者も、情報をキャッチするといいかもね。


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