2021.10.19
この物語は、ドリーム企画という企画会社の人事部・土里サポ子(入社2年目)が会社で起こる様々な問題に仲間と一緒に取り組んでいくトキメキ奮闘記である。
サポ子:森谷さん、営業のAさんが最近遅刻や欠勤が多いんですよ。理由を聞いてみたところ、病気を患い、体調不良で休んだり通院しているそうです。何か私たちにできることはありますか?
森谷:心配ですね。人生100年時代と言われているし、従業員の高齢化に伴って、何かしらの疾病を抱え治療しながら働く従業員も増えていくだろうね。治療と仕事の両立について一緒に考えよう。
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■疾病を抱える労働者の現状
「治療と職業生活の両立等支援対策事業」(平成25年度厚生労働省委託事業)における企業を対象に実施したアンケート調査によれば、疾病を理由にして1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが21%、脳血管疾患が12%となっています。また「2019年国民生活基礎調査」を基にした厚生労働省健康局にて特別集計したデータによると、仕事を持ちながらがんで通院している者の数は44.8万人です。
これらの疾病の有病率は年齢が上がるほど高くなる状況にあり、高齢化の進行に伴い、企業において疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要不可欠となっています。
■社員の治療と仕事の両立を一緒に考えよう
近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」と言われていた疾病においても生存率が向上し「長く付き合う病気」に変化しつつあります。労働者が病気になったからと言って、すぐに離職しなければならないという状況ではなくなってきています。
しかし、疾病や障害を抱える労働者の中には、仕事上の理由で適切な治療を受けることができない場合や、疾病に対する労働者自身の不十分な理解や、職場の理解・支援体制不足により離職に至ってしまう場合もあります。
労働者の個々の症状や状況により、出来る事、出来ないことが異なってきます。治療と仕事の両立は、治療の情報(病気や治療に関する情報や治療期間の見通し等)と職場の情報(職種や職務内容、勤務形態、勤務時間、通勤方法、通勤時間等)の双方が必要になりますので、お互いにコミュニケーションを取り、どのように両立していくか、一緒に考えるといいですね。
■我が社では、どう寄り添っていけるだろうか?
治療と仕事の両立支援の取り組み状況は企業によって様々です。病気や障害の労働者の個々の症状や状況により、対応も異なってきます。自社で何ができるか、企業としての配慮を提示することが必要となってくるでしょう。
例えば、相談窓口の設置、休暇制度として、時間単位の年次有給休暇制度、傷病休暇制度、病気休暇制度、時効で消滅した年次有給休暇を治療のための欠勤に充てる制度などがあります。勤務制度としては時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務やテレワーク、復帰時の試し出勤制度などがあります。少しずつ、できる事から取り組むといいでしょう。
【サポ子のスッキリ! ポイントまとめ】
- 疾病を抱える労働者の現況を理解しよう。
- 治療と仕事の両立を一緒に考える為にもコミュニケーションをとることが重要!
- 我が社で何ができるか考え、相談窓口の設置、休暇制度や柔軟な働き方など、できる事から取り組もう。